多国籍スープ

鮮やかな紅色が目を引く「ボルシチ」とは

鮮やかな紅色が目を引く「ボルシチ」とは

ボルシチは、ウクライナの伝統的な料理で鮮やかな深紅色がひときわ目を引きます。あまりにも強烈な色なので、初めて目にした人はとても食べたいとは思わないかもしれませんね。しかしながら、このボルシチも世界3大スープの一つなのです。おまけに近年、ポーランドやルーマニアなどの東ヨーロッパ各国にも普及しているのです。ここではそんなボルシチのご紹介をいたします。

ボルシチとは

世界3大スープの一つ

ボルシチは、冒頭でもご紹介したように世界3大スープの一つにも挙げられるほど有名なスープです。またビーツと呼ばれる植物が、スープ全体を深紅色に染めているのです。そしてスープには肉や野菜がたっぷりと含まれているので、とても食べ応えのあるスープとなっています。

中に入れる具材ですが、ビーツ以外にはとくに決まった具材などはありません。従って地域によっては、リンゴを入れるボルシチもあります。また肉についても、牛肉だけでなく肉団子やベーコン・ソーセージなども入れることがあります。とりわけ具材のベースともいえるビーツには、ビタミンCや鉄分・葉酸・食物繊維など様々な栄養素が豊富に含まれているので栄養価も満点です。

ウクライナが生んだ深紅色のスープ

日本の比ではないくらいに寒いロシアですが、そんな寒いロシアでは暖かい料理が好まれます。とりわけこれ以上寒い国はないというくらいに極限の寒さを日夜体験しているロシア人にとっては、寒さに負けない体力が必要なのです。そうしたことからも世界的に有名なロシアが生んだボルシチは、寒さをしのぐための工夫が施された料理なのです。

ちなみにボルシチの深紅色は、ビーツに含まれている色素の中でも赤色のベタシニアンが酸性に近いスープの中で強く発色しているからです。またそんなボルシチのルーツですが、ウクライナとはいうもののさらにそのルーツをたどると、古代ローマにまで行きつくのです。とりわけ古代ローマ人にとって、ボルシチは疲労回復には欠かせない食べ物だったのです。

美味しいボルシチの作り方

牛肉の塊を使ったボルシチ

まずは大き目の鍋に牛肉を入れて、肉が完全に隠れるくらいに水を注ぎます。その後、水を足しながら1時間程煮ます。その間、ローリエを入れながらアクを取り除く作業も行います。次に下処理ですが、缶詰のビーツは5ミリ幅に、トマトも細かく潰します。そして玉ねぎとニンジン・パセリは微塵切にします。キャベツも千切りにして、ジャガイモは皮をむいて3㎝角に刻んで水に浸しておきます。

そして別の鍋には、トマトピューレとジャガイモ・カップ2杯分の牛肉のゆで汁を入れて中火にかけます。調味料には、塩と砂糖を小さじ1加えて15分間煮ます。さらにフライパンでは、玉ねぎとニンジンを入れて炒めます。その後、茹で上がった牛肉は細切りにします。

そして牛肉を茹でたゆで汁には、ニンニクやジャガイモ・トマトピューレ・炒めた玉ねぎ・ニンジンを入れます。またキャベツとビーツも汁ごと加えます。そこにレモン汁と砂糖・塩・パセリを加えます。最後に胡椒で味付けをして、キャベツが柔らかくなるまで煮ます。それから器に牛肉を入れて、スープを注いで完成です。好みに合わせてサワークリームやヨーグルトを混ぜ合わせるのもロシア流です。

こま切れ牛肉を使ったボルシチ

ボルシチには、牛肉だけでなく鶏肉や豚肉・ベーコン・ソーセージを使うレシピもあります。ここではこま切れ牛肉を使ったボルシチをご紹介します。まずはニンニクを微塵切にします。そしてジャガイモ・玉ねぎ・ニンジン・ビーツ・セロリも小さく切ります。次にオリーブオイルをひいたフライパンに、微塵切したニンニクを加えて中火で炒めます。

その後、ジャガイモ・玉ねぎ・ニンジン・ビーツ・セロリ・こま切れ牛肉も加えて炒めます。さらに固形ブイヨンや赤ワイン・ローリエなども加えて、30分程度蓋をして弱火で煮ます。これで完成です。あとは器に盛って、サラークリームで仕上げるだけです。フライパンで煮込む際には、具材を焦がさないように時々かき混ぜたり弱火にするのが美味しく仕上げるためのコツです。

まとめ

ウクライナの伝統料理・ボルシチの効能や簡単にできる料理レシピをご紹介しました。とりわけ寒さが苦手な人は、ロシア人のようにボルシチを食べて体を鍛えるとよろしいでしょうね。

多国籍スープ

世界3大スープの一つ「トムヤムクン」とは

世界3大スープの一つ「トムヤムクン」とは

トムヤンクンは、世界3大スープの一つとされる有名なタイ料理です。他の世界3大スープには、ボルシチやフカヒレスープ・ブイヤベースがあります。それらを全部合わせると4大スープになるのですが、どれも各国で自己主張が激しいので意見がまとまらないのです。それはともかく日本にもタイ料理店が多いので、トムヤンクンを知らない人はまずいないでしょうね。ここではそんなトムヤンクンについてご紹介いたします。

トムヤンクンとは

トムヤンクンってどういう意味なの?

トムヤンクンって、そもそもどういう意味なの?と気になる方も多いのではないでしょうか?ちなみにトム=煮込む・ヤム=混ぜる・クン=エビといった意味になります。それらを繋げると、エビを混ぜた煮込み料理ということになります。

このトムヤンクンは、世界3大スープの中でも比較的庶民的なスープの部類に入るのかもしれませんね。何せ日本でもタイ料理店に行けば、誰でもお手頃価格で食べることができるのですからね。また気になる味ですが、エビが基本的な具材となっており辛みの中に酸味の効いたスープというのが一般的な味に対する評価です。

2種類のタイプのトムヤンクン

トムヤンクンといえば、今やタイの代名詞のようなイメージに膨れ上がっています。そんなトムヤンクンも厳密にいうと、トムヤンクン・ナムコンとトムヤンクン・ナムサイの2種類のタイプがあるのです。ただし2種類のトムヤンクンがあるとはいっても、タイに昔から伝わるトムヤンクンはトムヤンクン・ナムサイのほうなのです。トムヤンクン・ナムコンのほうは、後から来た外国人が改良を加えたものだといわれています。

その代わり日本人によく知られているのは、改良が加えられたトムヤンクン・ナムコンのほうです。本来の昔ながらのトムヤンクン・ナムサイのほうでないのが、少々残念ですね。そして気になるトムヤンクン・ナムコンの具体的な味ですが、香辛料で味付けされたスープの中にココナツミルクや練乳が入れてあるのでクリーミーな味わいです。一方トムヤンクン・ナムサイは、すっきりとした酸味や爽やかな辛みが大きな特徴です。

美味しいトムヤンクンの作り方

市販のパウダーを使用したトムヤンクン・ナムコン

すでに市販されているトムヤンクン用のパウダーを使うと、手軽に本場タイのトムヤンクンに仕上げることができます。まずは下処理からですが、エビの背ワタを取ります。さらにしめじやエリンギ・マイタケ・エノキなどの中から、お好きなキノコを食べやすい大きさにカットします。

その後、鍋に500ml程度の水を入れて沸騰させます。沸騰したら、トムヤンクンパウダー・鶏ガラスープの素大さじ1・ココナツパウダー大さじ2・チリソース大さじ1を入れてよくかき混ぜます。それらを入れて沸騰したら、エビやキノコなどの具材を入れます。十分に煮立った時点で出来上がりです。

トムヤンクン・ナムサイの作り方

まずは下処理ですが、エビのヒゲだけ切り落として綺麗に水洗いします。エビの殻に関しては、食べる時に殻をむくという方法で構いません。そしてショウガは5ミリ程度の厚みにスライスします。玉ねぎとトマト・唐辛子は3㎝角に乱切りします。次に鍋に500ml程度の水を入れて沸騰した時点で、鶏ガラスープ大さじ1を入れます。その後、ショウガや玉ねぎ・唐辛子・キノコを加えて煮立てます。

玉ねぎに火が通ったら、エビとベイリーフ2枚・レモンの皮少々・ナムプラー大さじ1・レモン汁大さじ3を加えて味を調えます。エビに火が通って赤くなったらトマトを加えて煮立てます。この時にエビを煮すぎてしまうと、エビが硬くなってしまうのでその点は注意が必要です。十分煮立ったら出来上がりです。お鍋から器に盛り付けて、パクチーを飾ったらOKです。

まとめ

日本でも多くのファンがいるトムヤンクンについてご紹介しました。まだトムヤンクンを食べたことがないという方は、一度タイ料理店に足を運んでみてはいかがでしょうか。

中華スープ

中国伝統の高級スープ「佛跳牆」とは

中国伝統の高級スープ「佛跳牆」とは

佛跳牆は、中国の福建省を代表する高級料理です。こうした高級料理は、大衆中華料理店では到底お目にかかることはできません。おまけに使われている文字自体もかなり難しい文字です。例えば佛=仏やお坊さん・跳=跳ねるや飛んでくる・牆=垣根となります。従って、仏門に入ったお坊さんもその美味しい香りから垣根を飛び越えて見に来たといったエピソードが名前の由来になっています。ここではそんなユニークな一面を持った佛跳牆についてご紹介いたします。

佛跳牆(ぶっちょうしょう、ファッチューチョン)とは

中国福建省の高級中華料理

佛跳牆は、すでに申し上げたように中国福建省の代表的な高級中華料理です。おまけに使われている具材についても、フカヒレやアワビなどの高級乾物です。具体的な調理方法ですが、それらの具材をスープと共に陶器製のツボに入れて何時間も蒸しあげて仕上げるという調理です。

フカヒレやアワビ自体は、例え高級食材とはいってもすでに日本でも多くの人が幾度となく召し上がっているハズです。ところが何分にも福建省の珍しい料理でもあるので、日本ではそれこそ高級中華料理店にでも行かない限りは食べることすらできません。

うますぎてお坊さんが垣根を飛び越えてしまうほどの高級中華料理

佛跳牆という料理に使われている文字には、うますぎてお坊さんが垣根を飛び越えてしまうほどの高級中華料理といった意味合いが込められています。要するにアワビやフカヒレといった高級食材ばかりを詰め込んだスープなので、うまくないハズがありません。

そんな高級中華料理は、それこそ中国でもかなり上の位に位置する皇族のために作られた料理ということになるのでしょうね。実際の中身ですが、透明のスープの中にはアワビやフカヒレ・ナマコ・ホタテといった海や山の乾物が蒸しあげて調理されています。そのため濃厚で深い味わいが大きな特徴です。

また気になるお値段ですが、中国では3200円程度です。その代わり日本で食べようとすると使われている具材にもよりますが、1万円から5万円相当の予算を見積もっておく必要があります。

美味しい佛跳牆の作り方

高級食材フカヒレを使った佛跳牆

佛跳牆は、使う具材に何某かを必ず使わないといった決まり事はありません。従って予算に応じて、高級食材を使うこともできます。今回は、一切れ6500円相当のフカヒレを使った佛跳牆をご紹介いたします。

それでは具体的な作り方ですが、まずは鶏肉と日本酒を器に入れてレンジで3分間加熱します。次に佛跳牆ではお馴染みの陶器に具材を入れて蒸すという調理方法はしません。今回はシャトルシェフに、フカヒレや干しシイタケ・鶏肉・干しホタテ・干しエビ等全ての具材を入れます。その後、上湯を注いで沸騰させます。沸騰したらさらに5分間加熱料理をします。

そして3時間程、保温調理をします。シャトルシェフの場合、加熱調理の代わりに保温調理でも可能な点がいいですね。最後に紹興酒やオイスターソース・黒酢などで味付けをしたら出来上がりです。この調理方法では3時間程の時間をかけますが、時間をかけてジックリと具材の旨味を引き出すというのが佛跳牆では一番注意すべきポイントなのです。

干しアワビと干しフカヒレを使った佛跳牆

下準備として、まずは干しアワビや干しフカヒレ・干しシイタケを水で戻しておきます。次にツボで蒸しあげずに、小さな土鍋を使います。この土鍋に干しアワビや干しフカヒレ・干しシイタケ・鶏肉・白菜などを敷き詰めます。

さらにその上からブイヨンスープ1000㏄・ゴマ油小さじ1・醤油大さじ2・塩と胡椒といった調味料を加えます。さらに乾物を戻した水も加えます。そして土鍋ごと蒸し器れて2時間程蒸したら完成です。この蒸す時には、くれぐれも弱火でじっくりと蒸しあげるのがコツです。強火にすると、具材が焦げてしまうからです。

まとめ

本来の佛跳牆というのは、とにかく高級食材を詰め込めば美味しく出来上がるのは当たり前といった考えが見て取れます。しかしながら実際には、蒸しあげる具材そのものに決まり事のようなものはありません。従って、予算に応じた具材を使用するのがベストでしょうね。