中華スープ

酸味が利いていてクセになる「酸辣湯(サンラータン)」とは

酸味が利いていてクセになる「酸辣湯(サンラータン)」とは

酸辣湯といっても、大衆中華料理店として有名な「餃子の王将」でもあまり見かけない料理メニューです。中華料理といえば、やはり回鍋肉とか八宝菜・酢豚・青椒肉絲くらいしか知らないという人がほとんどです。ところがやはり中華料理のツーともなれば、酸辣湯を知っている人も多いハズです。ここではそんな酸辣湯について詳しくご紹介いたします。

酸辣湯とは

中国の四川料理や湖南料理で有名な酸辣湯

酸辣湯は、中国の四川料理や湖南料理ではあまりにも有名な料理です。おまけに具材には、山の幸や海の幸の両方が使われており一年中食べられるスープです。ただし中国は山が多いので、海の幸とはいっても乾燥させた海の幸が一般的によく使われます。そんな海の幸でも高級食材といわれるナマコやアワビなども乾燥させた物がほとんどです。

一方酸辣湯に使われる山の幸といえば、タケノコやシイタケ・キクラゲがよく利用されます。肉に関しては、鶏肉が使われるのが一般的です。いずれの具材についても、特定の具材というのはありません。こうした具材も大切ですが、重要なポイントとなるのはやはりスープの味付けです。とりわけ酸辣湯の場合、酸味とスパイシーな香りを楽しむスープなので酢とコショーによる味付けは重要です。

酸辣湯の驚くべき効能

酸辣湯の味の決め手は、やはりお酢にあります。とりわけ酸っぱいお酢に含まれる酢酸には、アミノ酸が豊富に含まれています。また脂肪の合成も抑えてくれるので、ダイエットや脂肪を付きにくくするには最適です。さらにお酢には、抗菌効果があります。例えば腸内の有害細菌を減らして腸の働きを活性化させてくれます。従って便秘気味の女性にもオススメです。

さらには、夏バテ予防にも酸辣湯は適しています。何故なら酸っぱいスープを飲むことによって、唾液や胃液の分泌が増すので食欲を促してくれるのです。またお酢に含まれているクエン酸は、疲れの元となる乳酸を取り除いてくれたり炭水化物の消化を助けてくれる働きもあります。

美味しい酸辣湯の作り方

溶き卵と豆腐を使った酸辣湯

酸辣湯は、お酢の酸味がクセになるとよくいいます。ところがあまり食べなれない人にとっては、酸味が強すぎると逆にもう食べたくないと敬遠してしまうかもしれませんね。そのため溶き卵と豆腐を入れて、マイルドな味付けにアレンジした酸辣湯をご紹介いたします。

まずは酸辣湯に入れる具材の下処理ですが、干しシイタケは1時間程水に浸して戻しておきます。その後千切りにします。豆腐は1㎝各に切っておきます。また片栗粉は、小さじ2杯分程度を同量の水に溶いておきます。卵もあらかじめ溶いておきます。

その後、鍋に中華風のチキンスープの素を入れて強火で煮立てます。煮立った時点で紹興酒を入れてから、刻んだ干しシイタケとタケノコ・豆腐を加えます。さらに醤油とお酢を加えて煮立てた後に、水に溶かした片栗粉を加えてトロミをつけます。再度沸騰したら、溶き卵を加えて出来上がりです。

中華三昧の酸辣湯麺の美味しい作り方

明星さんが販売している中華三昧というインスタントラーメンがありますが、その中には意外にも酸辣湯麺というのがあるのです。おまけに中華料理の名店が監修しているので、スープが美味しくないハズがありません。ちなみに酸辣湯にラーメンを入れたのが、酸辣湯麺です。そこでこの中華三昧の酸辣湯麺を使った手軽な料理をご紹介いたします。

まずは粉末スープを煮たてて溶き卵を落とします。その後火を止めて、液体調味料を加えます。これで酸辣湯自体は完成です。あとはそこに付属のラーメンを入れるだけで、超簡単な酸辣湯麺の出来上がりです。おまけに本場中華料理の酸辣湯麺に限りなく近い完成度です。

この本場の酸辣湯麺に限りなく近いとはいっても、実際に食べてみないと本場の味がどんなものなのかも一向に分かりません。なので一度食べてみるしかないのですが、一口食べた際に驚くのはゴマの香ばしい香りです。またスープもトロミがあり酸味やコクが、深い味わいを醸し出しています。気になった方は、ぜひとも一度食べてみて下さい。

まとめ

大衆中華料理店ではあまり馴染みのない酸辣湯についてご紹介しました。本場の味を知りたいという方は、横浜や神戸の中華街に行けばいろんなお店の酸辣湯を堪能できます。ただし中華街に出向かなくても、最寄りの高級中華料理店に行けば必ずあるハズです。一度足を運んでみて下さい。

和風スープ

懐石や会席料理に欠かせない「お吸い物」とは

懐石や会席料理に欠かせない「お吸い物」とは

古来より「一汁三菜」といわれてきたように、懐石料理や会席料理といった日本料理におけるお吸い物は欠かせないメニューです。今でこそスーパーに行けば、お湯をそそぐだけで手軽にできるインスタントのお吸い物が数多くあります。そのため軽んじられる傾向にさえあります。しかしながら日本料理における本来のお吸い物というのは、とても重要な位置づけにあるのです。ここではそんなお吸い物についてご紹介いたします。

お吸い物とは

お吸い物とお澄ましとの違い

お吸い物とお澄ましの違いですが、どちらも同じなのでは?といった勘違いをしている人が多いのではないでしょうか。ところが実際には随分と違うのです。まずはお吸い物ですが、ダシ汁に醤油や塩・味噌などで味付けをした汁物をいいます。

一方お澄ましですが、透明なお吸い物のことをいいます。要するに、透明度の高いダシ汁を使った汁物ということになります。従って一般的には、昆布を使ったダシ汁が利用されます。また透明度を高くするために、塩や醤油を加える際にも数滴たらす程度になります。ちなみに具材については、どちらも特定はされません。あくまでもダシ汁が澄んでいるかどうかの違いのみに限定されます。

お吸い物の中でも人気の高い松茸の土瓶蒸し

日本料理の中でも最も人気の高いお吸い物といえば、やはり松茸の土瓶蒸しです。これは、土瓶に澄んだダシ汁を入れて具材には松茸と鱧などが利用されます。おまけにお椀に後からダシ汁や具を入れるのではなくて、土瓶ごと蒸しあげる独特の調理方法になります。

また調理方法についても煮出すのではなくて、あくまでも蒸しあげるだけの調理方法になります。従って、ダシ汁が濁らないのも大きな特徴といえます。さらにお吸い物に使われる高級具材には、ハマグリやエビなども定番の具材となっています。そしてお吸い物を引き立てる具材以外にも、ミツバや大根・ウドといった「つま」も風味を引き立てる重要な役目を果たしています。

美味しいお吸い物の作り方

美味しいダシ汁がお吸い物の決め手

お吸い物といえば、いかにもシンプルそのものといった印象を受けます。一見簡単そうに見えますが、料亭と一般家庭でのお吸い物の大きな違いはダシ汁にあります。そこでダシ汁の美味しい作り方に絞ってご紹介します。まずはダシ汁に使う昆布と鰹節ですが、1対1の割合にします。そして昆布には真昆布、鰹節には血合いのない色合いの薄い鰹節がオススメです。

具体的な調理方法については、まずは昆布を1時間程水につけます。その後、強火で加熱をして沸騰する前に火を止めて10分程放置します。10分たったら再び加熱をして、沸騰間際に昆布を取り出します。この時に加熱しすぎると、昆布のエグミが出てしまうので注意が必要です。

昆布を取り出した後は、鰹節を一気に入れて5分たったらペーパータオルで越しながら鰹節の入らないダシ汁にします。ちなみにペーパータオルに残った鰹節に含まれているダシ汁は、絞り出さないようにします。ダシ汁が、濁ってしまうからです。これで澄んだ美味しいダシ汁の完成です。

お吸い物にオススメの具材

ダシ汁については上述した通りです。次にオススメの具材ですが、タイやはまぐり・タラなどが一般的によく使用されます。こうした具材の上に添える「つけ」ですが、ミツバや柚子の皮・九条ネギなどがオススメです。

またそれらの具材がない場合には、単にワカメや豆腐などでも十分に具材に利用することができます。さらには、湯葉としめじの具材を使ったアッサリとしたお吸い物も大変人気があります。

まとめ

一見軽視しやすい傾向にあるお吸い物についてご紹介しました。今回ご紹介したように、日本料理にはお吸い物は重要な位置付けにあります。ぜひとも一般家庭でも、一流料亭に負けないお吸い物ができるようにトライしていただきたいですね。

和風スープ

お肉好きにお勧めしたい「テールスープ」とは

お肉好きにお勧めしたい「テールスープ」とは

テールを日本語にすると、動物の尻尾になります。ところがテールスープになると、牛の尻尾を使ったスープに限定されます。

もちろん、豚のテールスープというのも料理にはあります。しかしながら、テールスープといえばやはり牛のテールスープと解釈するのが一般的です。それはともかくとして尻尾の焼肉はありませんが、テールスープはコラーゲンが豊富で滋養強壮にもよいのです。ここではそんなテールスープについてご紹介いたします。

牛タン定食には付き物ともいえるテールスープ

牛タンと共に有効活用された牛テール

戦後のアメリカ進駐軍が牛肉を食べていた時代に、捨てられていた部位が牛タンと牛テールでした。要するに当時のアメリカ兵にとっては、牛タンや牛テールというのは食べ物ではないというのが見解だったのではないでしょうか。ところが捨てるのは勿体ない!という日本人の発想から、有効活用されたのが牛タンと牛テールだったのです。

しかしながら、その当初は料理人の賄いメニューに過ぎませんでした。そんな牛タンや牛テールについても今日の牛タンの本場ともいわれる仙台では、牛タン定食を注文すると必ずついてくる汁物がテールスープです。従って牛タンの味や調理方法についての工夫が施された際に、臭みの強い牛テールの調理方法も一緒に開発されたといわれています。

余談ですが私が一番美味しいと思ったのは、この仙台の牛タン屋さんです。

牛テールは栄養満点

牛テールには、コラーゲンがたっぷりと含まれています。そんな牛テールをスープとしてじっくりと煮込んでいくと、コラーゲンがスープに溶け出していくのです。こうしてスープに溶け出したコラーゲンは、美肌効果が高いことで有名です。

また牛テールスープには、ニンニクが沢山使われています。このニンニクにも疲労回復や食欲増進・滋養強壮・ダイエットといった効果があります。その他にも、ショウガやネギなども使われています。こうしたショウガやネギにも体が温まるとか風邪の予防などの効果が期待できます。

美味しいテールスープの作り方

下処理や味付けはキチンと行うのがポイント

テールスープは、牛テールの下処理が決め手となります。その最初の下処理は、牛テールの血抜きです。この血抜きは、水に2時間程つけて行います。その間に水が血で染まったら、綺麗な水と入れ替えます。この工程で血抜きをキチンと行わないと、血なまぐさい味になってしまいます。

その後、鍋に入れたお湯に塩を加えて10分間程牛テールを茹でます。茹で終わったら、水に晒して汚れを落とします。その後は、牛テールに酒や塩で下味をつけます。その次には、鍋に水を入れて牛テールやニンニク・香味野菜・ローリエ・ショウガなどを加えて3時間程弱火で煮込みます。これは臭みを取るための煮込み工程です。煮込んだ後は、火を止めて一晩おきます。

一晩たったら牛テールだけを残して、スープに塩や味醂等で味付けをしながら2時間程煮込めば完成です。テールスープの場合、味付けは2回目の煮込みの際に行うのがコツです。最初から味付けを行うと、肉が硬くなるからです。また強火だと、脂や旨味が流れ出て硬くなります。そのため弱火で煮ることも大切です。

その他のテールスープ料理

テールスープのスープは塩味が一般的ですが、韓国調味料のヤンニンジャンや牛肉サシダと呼ばれる牛肉ダシの粉末調味料を使うと韓国風の味付けになります。またその際には、具もネギではなくて乾燥ズイキやゼンマイを使います。

こうしたテールスープと同様に人気の高いテール料理には、テールシチューがあります。このテールシチューには、煮込んだ牛テールに市販のデミグラスソースを加えてコトコトとじっくり煮込みます。寒い冬の季節には、こうしたテールシチューも体が温まるのでオススメです。

さらにテールスープや牛タンに合う料理として、ポテトサラダを添えると一層食卓が華やいで見えます。また牛タンの本場仙台では、麦飯が定番ですがチャーハンなどもテールスープにはよく合います。

まとめ

テールスープの歴史や美味しく仕上げる料理レシピなどご紹介しました。とくに料理レシピについては、人によって多少の違いはあります。

いずれの場合も血抜きをキチンと行ったり一晩おいてさらに弱火でじっくりと煮込むといった丁寧な調理が美味しく仕上げるコツです。