和風スープ

懐石や会席料理に欠かせない「お吸い物」とは

懐石や会席料理に欠かせない「お吸い物」とは

古来より「一汁三菜」といわれてきたように、懐石料理や会席料理といった日本料理におけるお吸い物は欠かせないメニューです。今でこそスーパーに行けば、お湯をそそぐだけで手軽にできるインスタントのお吸い物が数多くあります。そのため軽んじられる傾向にさえあります。しかしながら日本料理における本来のお吸い物というのは、とても重要な位置づけにあるのです。ここではそんなお吸い物についてご紹介いたします。

お吸い物とは

お吸い物とお澄ましとの違い

お吸い物とお澄ましの違いですが、どちらも同じなのでは?といった勘違いをしている人が多いのではないでしょうか。ところが実際には随分と違うのです。まずはお吸い物ですが、ダシ汁に醤油や塩・味噌などで味付けをした汁物をいいます。

一方お澄ましですが、透明なお吸い物のことをいいます。要するに、透明度の高いダシ汁を使った汁物ということになります。従って一般的には、昆布を使ったダシ汁が利用されます。また透明度を高くするために、塩や醤油を加える際にも数滴たらす程度になります。ちなみに具材については、どちらも特定はされません。あくまでもダシ汁が澄んでいるかどうかの違いのみに限定されます。

お吸い物の中でも人気の高い松茸の土瓶蒸し

日本料理の中でも最も人気の高いお吸い物といえば、やはり松茸の土瓶蒸しです。これは、土瓶に澄んだダシ汁を入れて具材には松茸と鱧などが利用されます。おまけにお椀に後からダシ汁や具を入れるのではなくて、土瓶ごと蒸しあげる独特の調理方法になります。

また調理方法についても煮出すのではなくて、あくまでも蒸しあげるだけの調理方法になります。従って、ダシ汁が濁らないのも大きな特徴といえます。さらにお吸い物に使われる高級具材には、ハマグリやエビなども定番の具材となっています。そしてお吸い物を引き立てる具材以外にも、ミツバや大根・ウドといった「つま」も風味を引き立てる重要な役目を果たしています。

美味しいお吸い物の作り方

美味しいダシ汁がお吸い物の決め手

お吸い物といえば、いかにもシンプルそのものといった印象を受けます。一見簡単そうに見えますが、料亭と一般家庭でのお吸い物の大きな違いはダシ汁にあります。そこでダシ汁の美味しい作り方に絞ってご紹介します。まずはダシ汁に使う昆布と鰹節ですが、1対1の割合にします。そして昆布には真昆布、鰹節には血合いのない色合いの薄い鰹節がオススメです。

具体的な調理方法については、まずは昆布を1時間程水につけます。その後、強火で加熱をして沸騰する前に火を止めて10分程放置します。10分たったら再び加熱をして、沸騰間際に昆布を取り出します。この時に加熱しすぎると、昆布のエグミが出てしまうので注意が必要です。

昆布を取り出した後は、鰹節を一気に入れて5分たったらペーパータオルで越しながら鰹節の入らないダシ汁にします。ちなみにペーパータオルに残った鰹節に含まれているダシ汁は、絞り出さないようにします。ダシ汁が、濁ってしまうからです。これで澄んだ美味しいダシ汁の完成です。

お吸い物にオススメの具材

ダシ汁については上述した通りです。次にオススメの具材ですが、タイやはまぐり・タラなどが一般的によく使用されます。こうした具材の上に添える「つけ」ですが、ミツバや柚子の皮・九条ネギなどがオススメです。

またそれらの具材がない場合には、単にワカメや豆腐などでも十分に具材に利用することができます。さらには、湯葉としめじの具材を使ったアッサリとしたお吸い物も大変人気があります。

まとめ

一見軽視しやすい傾向にあるお吸い物についてご紹介しました。今回ご紹介したように、日本料理にはお吸い物は重要な位置付けにあります。ぜひとも一般家庭でも、一流料亭に負けないお吸い物ができるようにトライしていただきたいですね。

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お肉好きにお勧めしたい「テールスープ」とは

お肉好きにお勧めしたい「テールスープ」とは

テールを日本語にすると、動物の尻尾になります。ところがテールスープになると、牛の尻尾を使ったスープに限定されます。

もちろん、豚のテールスープというのも料理にはあります。しかしながら、テールスープといえばやはり牛のテールスープと解釈するのが一般的です。それはともかくとして尻尾の焼肉はありませんが、テールスープはコラーゲンが豊富で滋養強壮にもよいのです。ここではそんなテールスープについてご紹介いたします。

牛タン定食には付き物ともいえるテールスープ

牛タンと共に有効活用された牛テール

戦後のアメリカ進駐軍が牛肉を食べていた時代に、捨てられていた部位が牛タンと牛テールでした。要するに当時のアメリカ兵にとっては、牛タンや牛テールというのは食べ物ではないというのが見解だったのではないでしょうか。ところが捨てるのは勿体ない!という日本人の発想から、有効活用されたのが牛タンと牛テールだったのです。

しかしながら、その当初は料理人の賄いメニューに過ぎませんでした。そんな牛タンや牛テールについても今日の牛タンの本場ともいわれる仙台では、牛タン定食を注文すると必ずついてくる汁物がテールスープです。従って牛タンの味や調理方法についての工夫が施された際に、臭みの強い牛テールの調理方法も一緒に開発されたといわれています。

余談ですが私が一番美味しいと思ったのは、この仙台の牛タン屋さんです。

牛テールは栄養満点

牛テールには、コラーゲンがたっぷりと含まれています。そんな牛テールをスープとしてじっくりと煮込んでいくと、コラーゲンがスープに溶け出していくのです。こうしてスープに溶け出したコラーゲンは、美肌効果が高いことで有名です。

また牛テールスープには、ニンニクが沢山使われています。このニンニクにも疲労回復や食欲増進・滋養強壮・ダイエットといった効果があります。その他にも、ショウガやネギなども使われています。こうしたショウガやネギにも体が温まるとか風邪の予防などの効果が期待できます。

美味しいテールスープの作り方

下処理や味付けはキチンと行うのがポイント

テールスープは、牛テールの下処理が決め手となります。その最初の下処理は、牛テールの血抜きです。この血抜きは、水に2時間程つけて行います。その間に水が血で染まったら、綺麗な水と入れ替えます。この工程で血抜きをキチンと行わないと、血なまぐさい味になってしまいます。

その後、鍋に入れたお湯に塩を加えて10分間程牛テールを茹でます。茹で終わったら、水に晒して汚れを落とします。その後は、牛テールに酒や塩で下味をつけます。その次には、鍋に水を入れて牛テールやニンニク・香味野菜・ローリエ・ショウガなどを加えて3時間程弱火で煮込みます。これは臭みを取るための煮込み工程です。煮込んだ後は、火を止めて一晩おきます。

一晩たったら牛テールだけを残して、スープに塩や味醂等で味付けをしながら2時間程煮込めば完成です。テールスープの場合、味付けは2回目の煮込みの際に行うのがコツです。最初から味付けを行うと、肉が硬くなるからです。また強火だと、脂や旨味が流れ出て硬くなります。そのため弱火で煮ることも大切です。

その他のテールスープ料理

テールスープのスープは塩味が一般的ですが、韓国調味料のヤンニンジャンや牛肉サシダと呼ばれる牛肉ダシの粉末調味料を使うと韓国風の味付けになります。またその際には、具もネギではなくて乾燥ズイキやゼンマイを使います。

こうしたテールスープと同様に人気の高いテール料理には、テールシチューがあります。このテールシチューには、煮込んだ牛テールに市販のデミグラスソースを加えてコトコトとじっくり煮込みます。寒い冬の季節には、こうしたテールシチューも体が温まるのでオススメです。

さらにテールスープや牛タンに合う料理として、ポテトサラダを添えると一層食卓が華やいで見えます。また牛タンの本場仙台では、麦飯が定番ですがチャーハンなどもテールスープにはよく合います。

まとめ

テールスープの歴史や美味しく仕上げる料理レシピなどご紹介しました。とくに料理レシピについては、人によって多少の違いはあります。

いずれの場合も血抜きをキチンと行ったり一晩おいてさらに弱火でじっくりと煮込むといった丁寧な調理が美味しく仕上げるコツです。

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日本食の定番「お味噌汁」とは

日本食の定番「お味噌汁」とは

お味噌汁といえば、日本人であれば説明不要の定番中の定番ともいえる汁物の一つです。とりわけ親元から離れて一人暮らしをしている人であれば、故郷のお袋の味といえば誰もが真っ先にお味噌汁を挙げるでしょうね。おまけにお味噌汁に入れる具や味噌にも地域や各家庭ごとに違いがあります。そのため旦那さんの家に嫁いだお嫁さんが、真っ先にお姑さんから教わるのもお味噌汁です。ここではそんなお味噌汁についてご紹介いたします。

日本料理の定番・お味噌汁

日本料理には欠かせないお味噌汁

日本料理といっても様々な種類があります。例えば日本料理を提供するお店などに行くと、本膳料理や懐石料理・会席料理などがあります。もちろん一般家庭においても、お袋の味ともいえる料理の数々があります。

いずれの場合においても、日本料理に欠かせないのは汁物です。そんな汁物の代表格といえば、日本の場合はやはりお味噌汁なのです。従って一般家庭はもちろんですが、本膳料理や懐石料理・会席料理などの席においても、汁物のほとんどがお味噌汁なのです。近頃ではあっさりとした澄まし汁を提供するお店も多くなりましたが、やはり汁物の基本はお味噌汁なのです。

お味噌汁の歴史

日本料理の定番ともいえるお味噌汁ですが、縄文時代や弥生時代といった大昔から存在したというワケではありません。お味噌汁が普及し出したのは、室町時代の頃といわれています。おまけに貴族層よりも農民層など一般庶民から普及したといわれています。ちょうどお味噌汁が故郷のお袋の味を連想させるように、田舎の農家から貴族層へと徐々に普及していったのです。

おまけにあの戦国時代においても、熱中症対策や陣中食としてお味噌が利用されたといわれています。その代わり陣中食としてのお味噌汁の場合には、ご飯の上に味噌を乗せてその上からお湯を注いだ程度のものだったといいます。要するに汁かけご飯のようなものです。それが時代と共にご飯とお味噌汁が、次第に分離していったのだといいます。

美味しいお味噌汁の作り方のポイント

お味噌汁は簡単なようで奥が深い

お味噌汁のベースとなる味付けはお味噌です。トマトでもコンソメでもありません。おまけに中に入れる具材にも、これといった決まりごとはありません。地域や各家庭によってそれぞれ異なります。そういう意味では、どんな国のスープよりも簡単なのでは?とさえ思ってしまいます。ところがお味噌汁は、簡単なようで結構奥が深いのです。

一番間違えやすいのは、お味噌の分量です。一般的には、水10に対して味噌1というのが基本です。またお味噌を入れてから沸騰させてしまうと、苦みやエグ味が出やすくなるので沸騰する直前に火を止めるのがコツです。お味噌を入れるタイミングも同様です。沸騰後に火を弱火にしてお湯が静まっている時にお味噌を溶いて入れるのです。今申し上げた内容をクリアーするのも大変ですよ。

隠し味にも注意が必要

お味噌汁には、お味噌以外にも隠し味として粉末のダシを入れます。この粉末のダシを入れるタイミングですが、最初から入れてしまうとダシの風味が消えてしまいます。あくまでも一番最後に粉末のダシを入れるようにするのです。また具材も最初に油で炒めておくと、お味噌汁の旨味がアップするようになります。

その他にもお味噌を溶く際に少量の料理酒、あるいは砂糖を加えておくとコクや甘味が出るようになります。さらには仕上げに少量の醤油を加えると、味に深みが出ます。練りゴマも風味やコク出しには最適です。これらの隠し味以外にも、煮干しや昆布でダシを出すのもいいですね。

まとめ

お味噌汁が懐かしいとはいっても、今や即席味噌汁がスーパーに行けばすぐ手に入ります。おまけにお湯を注ぐだけなので、お味噌や本だしの分量など考える必要はありません。しかしながらそこに好みの具材を入れた我が家独自のお味噌汁があってもよいかもしれませんね。